第7回 有峰俳句の会
 〔講師吟〕

雨降るも晴るるも緑浄土かな                  中坪 達哉

 閑かさを我が物として湖の秋                      同

 〔特選〕

 沢音に足音重ね涼あらた                     内山 澄子

 跪くレンズの高さ秋薊                          同

沢の水含みて秋の風を聞く                   菅野 桂子

大木のとりわけ山毛欅の涼新た                   同

毒茸の真白き笑(えま)ひ見てゐたり              石黒 順子

刈萱や山ふところに日の満ちて                    同

初紅葉蹠(あうら)弾みし森の径                 太田 硯星

竜淵に潜みて沈む村を守る                       同

風下に立ちて湖の香秋の声                    新村 美那子

木洩れ日もいつしか秋や樹木園                    同

葛かづら捩(すじ)り捩(もじ)りに風を追ひ            野村 美智子

 冷やかや岩に折れゆく沢の音                      同

法華塔吹く秋風に沢の音                      内田 邦夫

湖よりの風にすと乗る飛蝗(ばった)かな               同

赤まんま河原のの石に寄り添うて                 大井 孝行

草虱 ズボンの裾を引かんとて                       同

秋うらら木肌もぬくき有峰に                    金森 める子

 死ぬふりのタゴガエル手に秋の湖                   同

 どこまでも付いて行かんと葛の花                 栗島 くり子

 谷埋めて大傘持の花真白                        同

 地に落とす影の大きく岩燕                     新井 のぶ子
 
 
 訪ふ者を待ちて色づく岩うちは                      同


 朝霧の流れは速し我が生も                     木本 彰一


 風強き湖岸の秋や波の声                         同


 秋色に一句生まるるバスの中                    荻沢 明夫

 秋雨の音に目覚めし吟行日                        同

 老木にきのこ大群こびとたち                     水野 博之

サワサワとススキ寝かすか秋の風                   同

山ススキ紅穂ゆらゆら風呼んで                  藤森 杏杏


 雪解けて遠のく秋の薬師岳(やくし)かな                同