〔講師吟〕
この道のはたしてありし真弓の実 中坪 達哉
蒼天の落つるばかりに紅葉晴 同
1句目は、1日目の水須から小口川線沿い、冷タ谷、西谷
2句目は、2日目の折立、砥谷半島
を詠んだもの。
〔特選〕
金秋の山の出入りは祈りから 石黒 順子
秋晴を湖面の色の変はりやう 同
蝮(まむし)草(ぐさ)今年雌とや実の長(た)けて 平井 弘美
これよりは坂道も急ありどほし 同
廃屋の主待つかに秋茗荷 磯野 くに子
どんぐりを拾うて投ぐる漢(おとこ)かな 同
日当りに銀の実残す漆の木 内田 邦夫
登山口人影見えず落葉舞ふ 同
枸杞(くこ)の実の苦くて此処(ここ)は廃墟村 新井 のぶ子
鈴の音を昂(たか)ぶらせては茸狩 同
錦秋のサカサマ谷や水速し 渡辺 美和子
有峰に響くオカリナ照紅葉 同
青年のオカリナの音や雲も秋 篠原 信子
みづうみを霧の流るる朝(あした)かな 同
有峰や腰を下ろせば草の花 老松 成子
たそがるる秋を満喫朱にこめて 同
瞼(め)を閉じて秋風を読む有峰湖 青山 和浩
秋深し落葉(から)松(まつ)林人を呼ぶ 同
アキアカネ羽の宝石誰にやる 平野 康美
山ぶどう猿に負けじと蔓(つる)を引く 同
ななかまどシャンデリアめく数多(あまた)の実 竹内 健心
秋深し蜜柑ほおばる石の上 同