第15回 有峰俳句の会(平成29年7月28~29日)
  

〔講師吟

夏霧の晴れ上がりゆく白さかな    中坪 達哉
倒木に乗るか潜るか木下闇        同

〔特選〕
狛犬の眼や杳と涼やかに     太田 硯星
沢音や小さき滝には名はなくて    同

汗ひくや錆びし銀山責め道具   成重 佐伊子
隠り沼の靄に立山うつぼ草      同

狛犬の木霊聞きゐる大暑かな   石黒 順子
手に掬ひ源流すでに水の秋      同

有峰に濡るるほかなし夏の雨   堀田 千賀子
沢音に逸る歩みや秋近し       同

夏霧の匂ひの中にダム沈む    東海 さち
朝霧に浮く稜線のはるけしや     同

涼しさやエレベーターでダム底へ 舛田 としこ
湖に灯籠浮かぶ夏の霧        同

針の孔狙ふごときに蛇の舌    坂本 善成
涼やかに水尾ひく鳥や山の湖     同

岩燕見上げるダムの高さかな   新井 のぶ子
岳人の手を拭く朴葉花も過ぎ     同

湖底から昭和の水音ダム涼し   内田 邦夫
水楢の葉も光りけり霧涼し      同

夕立が尾根かけ上がる有峰湖   中川 正次
指先に花の堅さもサワグルミ     同

青大将脱ぎたる皮の生臭し    篠原 信子
露踏んで山毛欅の林を分け入りぬ   同

山肌に爪痕いくつ夏の雨     山澤 美栄子
住む町を語り合ひたる登山口     同

見下ろすも仰ぐも風の青葉かな  老松 成子
ぐんぐんと青空めざす大夏木     同


深みどり湖面静かに影映す    大澤 美枝子
ダム底の御霊に合はす汗の手を    同

酸つぱさに疲れも失せて山ぶだう 西田 武佐史
奥山の緑の匂ひ渓越えて       同

1句目は、1日目の大山歴史民俗資料館、有峰ダム内部見学
2句目は、2日目の折立遊歩道、旧折立林道、穴洞谷自然道、猪根谷橋周辺
      を詠んだもの。