成重佐伊子





太田硯星





菅野桂子




舛田としこ



金森める子





石黒順子



山下正江





新村美那子





中島廣志




内田邦夫




東海幸子




坂本善成




中川正次



尾近美栄子




山下聡美

第11回 有峰俳句の会

〔講師吟

草踏んで土踏んで夏雲へ()    中坪 達哉

空に消ゆ山の揚羽は小さくて    同

一句目 平成25年6月29日 猪根谷・冷タ谷に於いて

二句目 平成25年6月30日 折立・砥谷半島に於いて       各一句づつ

〔入選〕

青歯朶(あおしだ)や水のにほひのけものみち

空木(うつぎ)咲き木の間がくれに紅こぼす

青芒(あおすすき)増えて有峰登り口

(いわ)割つて薬師(やく)()の水や紅うつぎ

(むすび)()の高きは朴と栃の木と

青葉騒(あおばざい)眼下に湖のさざ波も

万緑の空を隠して風さやぐ

夏雲や地殻変動観測点


小なすびを手帳にはさむ筒鳥()

古傷や半月見れば願いもす

青葡萄(あおぶどう)()みいつそ猿とならうか

あはあはと安堵の色の花空木


お握りをがぶりとふたつ夏の雲

風が()く湖の濃淡(なつ)()けて

有峰へ()(ばな)(なが)しの吹くことよ

深くたゆたうて一気に滝流る

吟行の(みち)とはなれり草刈って

我が拾ふ径に置きある落し文

あがりこの緑やはらか(さえずり)

蝶々と隣り合わせて水飲場

そっとふれしっかりふれて(ぎん)(りょう)(そう)

目覚めるや先ず仰ぎたる夏の山


潜みたるけもの匂ふも木下闇

(やま)独活(うど)の考も掘りたる匂ひかな

栃うちわ涼風送り歩みけり


先を行くリュックの群れと夏の雲

杏甘し落葉松林に腰下ろし

遠き日の薬師(やく)()登山(とざん)を思う夏

殖え止まぬ幽霊草や冷タ谷


夏山や眠れぬ夜のビートルズ