〔講師吟〕
草踏んで土踏んで夏雲へ
空に消ゆ山の揚羽は小さくて 同
一句目 平成25年6月29日 猪根谷・冷タ谷に於いて
二句目 平成25年6月30日 折立・砥谷半島に於いて 各一句づつ
〔入選〕
万緑の空を隠して風さやぐ
夏雲や地殻変動観測点
小なすびを手帳にはさむ筒鳥
古傷や半月見れば願いもす
あはあはと安堵の色の花空木
お握りをがぶりとふたつ夏の雲
風が
有峰へ
深くたゆたうて一気に滝流る
吟行の
我が拾ふ径に置きある落し文
あがりこの緑やはらか
蝶々と隣り合わせて水飲場
そっとふれしっかりふれて
目覚めるや先ず仰ぎたる夏の山
潜みたるけもの匂ふも木下闇
栃うちわ涼風送り歩みけり
先を行くリュックの群れと夏の雲
杏甘し落葉松林に腰下ろし
遠き日の
殖え止まぬ幽霊草や冷タ谷
夏山や眠れぬ夜のビートルズ