10回有峰俳句の会

 

一句目は平24630日(土) 冷タ谷遊歩道、湖畔キャンプ場

二句目は7月1日(日) 東谷、記念館湖畔、猪根山

 

〔講師吟〕

波音に心音重ね薄暑光         中坪 達哉

雨の中かがやくものに病葉も        同

〔入選句〕

濃く淡く湖に迫り出す茂かな      内山 澄子

道標を過ぎ道中へかたつむり        同

列を()れしばし身を置く青葉騒(あおばざい)     太田 硯星

心揺れなば夏霧も移りけり         同

夏川に憩ふあなたのあどけなく     明官 雅子

かの人も青葉しぐれに肩濡れて       同

老鶯の声ふりしぼる雨催        石黒 順子

もりあをがへる卵は風を待つやうに     同

水筒のろろんと鳴りて雲は秋      山下 正江

尺蠖(しゃくとり)薬師(やく)()()()も霧の中        同

走り根を踏みつつのぼる銀竜草     桝田としこ

橋いくつ渡りて来しか谷うつぎ       同

夏の湖早や夕波の音(ひら)く        金森める子

羚羊の歩をゆるめ来る緑雨かな       同

老鶯やざら峠をば目で越えて      平井 弘美

戻り梅雨三光鳥に起こさるる        同

矢車草待ちたる君に見せたきや     中林 文夫

ででむしの触れざる角に睨まるる      同

老鶯の啼くほどさびしき湖畔かな    堀田千賀子

車窓縫ふ木の間隠れを青葉雨        同

夏草を踏むやバッタの子らはじき    新井のぶ子

きせきれい濡るるベンチに語らずに     同

人去りて蝶と蜻蛉の水辺かな      内田 邦夫

あがりこの青葉に(のぞ)く空狭し        同

崖下はよしなとふきの競い合う     木本 彰一

雨雲の雪形隠し流れゆく          同

風を聞きオカリナを聞き夏木立     中島 廣志

山鼠(やまね)(ましら)(かも)(しか)五月雨            同

枯れし花未だのせたり朴の木は     東海 さち

九十九折緑雨にむせぶ歩の乱れ       同

ホウホケキョケキョケキョホケキョアルペジオ  中川 正次

稜線の向こうは飛騨や梅雨寒し           同

百年の山毛欅を抱きて涼しけれ     新井 てい

再会に傘もてあます花空木         同

また来たぞ緑深まる有峰に       尾近美栄子

今が好き昔から好き梅雨の山        同

吟行の歩みも弾み風薫る        坂本 善成

新緑にひた降る雨音(あまね)山の朝         同

さざ波と風の匂いや湖涼し       犬島荘一郎

梅雨足の強弱ありて湖の(おも)         同

湖の底祭ばやしの音聞こゆ       西宮外喜子

ゆきゆきて青葉づくしのうれ街道      同

輪になれば二十五名の新樹かな     尾近奈緒子

雨粒をまとうは(すが)し山の夏         同