第4回 有峰紅葉俳句の会
[講師吟]
クガイ草枯るるといへど花立てて 中坪達哉
島ひとつ流るる気配紅葉して
[特選句]
藪こぎの奧の明るき紅葉山 野中多佳子
ダムよりの風のあはひの枯尾花
冠雪の山を引き寄せ紅葉晴 内山澄子
永遠の木をゆるりとくぐり秋惜しむ
吹きくれしオカリナ秋の声と聞く 菅野桂子
霧閉ざす湖に向かひてベンチあり
黄落の林分け入り空ゆらす 成重佐伊子
湖の風の濃淡秋深む
小流れの綾に走れる水の秋 新村肇子
あわあわと早も樺の枯木立
白樺の梢縫ひ行く小鳥かな 稲田しげ野
句作りを語らひて行く落葉径
宝来島色なき風の中に浮く 稲田 恵子
秋の湖蒼く豊かに明けにけり
廃道となるを惜しめば霧湧いて 練合澄子
谷に入る落葉に靴を沈ませて
雫する紅葉盛りを峠越え 石黒順子
ゆき行きて山のしづけさ秋の色
木の葉舞ふ山路の中に風を見し 斉藤チイ子
霧深き墨絵の中に迷い込む
夕風の木々の葉擦れや冬近し 牧野幸子
大多和の峠を小鳥群れ飛んで
散紅葉一枚腰に猿歩く 中川正次
トンネルをくぐるたび濃き紅葉かな
カメムシや冬の準備か部屋に来て 宮原真樹
声あらば俺を食うなと茸かな
吹く風に落葉積もりし山路かな 水野博之
落葉濡れやがて霜ふる雪もふる
朝霧に薬師の姿見え初めし 河原芳博
落葉踏む東西半島靄深し
秋の声有峰大助何思う 小嶋智美
秋風に揺るる楓の手のように
有峰湖もみじうつしてくれにけり 伊藤富夫
落人の谷と伝えて霧深し 鈴木修次
第4回有峰紅葉俳句の会は
平成18年10月25,26日に
参加者15名で行われました。