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有峰森林文化村新聞 2022年1月31日 第469号
有峰村民の皆さまに有峰の最新情報をお伝えするメールマガジン
ありみネット http://www.arimine.net
編集/有峰森林文化村会議 編集/中川達夫
(発行日現在の有峰村民人口:1,330人)
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●有峰の巨木紹介 トチノキのあがりこ
●有峰の各遊歩道を体験
◆編集室からのお知らせ
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●有峰の巨木紹介 -連載2回目- 巨樹コラム
トチノキのあがりこ【富山県】 吉江 良
富山県の有峰地区は県南東部の中部山岳国立公園に隣接しており、北アルプス
随一の巨峰と呼ばれる標高2,926mの薬師岳の麓に位置しています。 現在有峰
に居住する村人は居ませんが、有峰ダム建設の土地買収が始まる大正9年頃ま
では、13戸の集落があったそうです。その集落近くの冷夕谷(つべただに)遊
歩道の途中に、かつての村人が木材を利用していた証であるトチノキの「あが
りこ」を見ることができます。「あがりこ」とは、薪や炭の材料となる木材を
得るために、雪上に出た部分を繰返し伐採してできた奇妙な形の木のことで、
言葉の語源は「上がった所から新しく子が生まれる」ということに由来してい
るそうです(出典 有峰森林文化村「有峰トランプ」)。有峰の積雪は通常4
~5mもあり、あがりこの多くはその高さで変形しているものが多くなってい
ます。巨樹といえば、まず「環境保護のシンボル」であることが想像できます
が、私の予測では、むしろ「木材利用の歴史」を表しているものが多いのでは
ないかと思っています。屋久杉や、富山県立山町美女平の美女杉などがこれに
あたるかと思います。また、あがりこのように、直接木材利用された過去があ
る巨樹に限らず、周辺の森林が大いに活用された場所で、「森林の利用と保全」
の歴史の象徴として残された巨樹が多いのではないかと思うのです。
我が国は、先進国の中では有数の森林率(67%)を誇る森林大国でありながら、
木材の自給率は40%弱にとどまっています。 木材は、水や石油、鉄鉱石と同様
に、私たちの生活には欠かせない資源ですが、自国に多くの資源を抱えながら、
それを使用せず、他国の資源に依存している現在の状況は、世界規模での環境
保全を考えるうえでは、決して好ましいことでないと考えます。昔人が工夫を
重ねて木材を利用した「あがりこ」を見ていると、『日本人よ、もっと身の回
りの木材を使いなさい』という声が聞こえてくるかのようです。
日本には本当に多くの巨樹があります。巨樹を眺めることにより、より多くの
方が、森林を「守る」ことだけでなく、「利用する」ことについても、思いを
馳せていただけるようになることを願っています。
・自然環境研究センター 巨樹・巨木林データベースより(引用承諾済)
https://kyoju.biodic.go.jp/

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●有峰の各遊歩道を体験
有峰の各遊歩道の状況をパソコンやスマホで見られるようになりました。
歩道や植生の状況などを確認することができます。
http://www.arimine.net/walk/walkmap.html
・猪根山遊歩道 第二展望台の景観
・冷タ谷遊歩道 上記のあがりこが見られます
・東西半島遊歩道 展望台からの有峰湖
・砥谷半島遊歩道 展望台からの宝来島
※各遊歩道の「ストリートビュー」をクイックください
webでは有峰花子で登録して既に5万アクセスを越えました。

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◆編集室からのお知らせ
◇ホームページありみネット http://www.arimine.net
大寒から春分までは一年で一番寒い頃ですね。富山市内での最深積雪は年末の
44センチ(昨年度128センチ)、20センチ以上の積雪日が21日間(1/31まで)
なりました。昨年度は36日間と特別でしたので今年も寒い冬といえそうです。
有峰での積雪はこの先2、3月の天候次第になりますので、状況がわかり次第お
伝えしたいと思います。有峰森林文化村助役