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有峰村民の皆様と、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2021年9月12日 第464号
編集/有峰森林文化村会議 編集/中川達夫
(発行日現在の有峰村民人口:1,330人)
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●コロナ感染症に関する今後の文化活動について
◆有峰におけるツキノワグマ夏場の採食について
◆編集局からのお知らせ
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●富山県での新型コロナウイルス感染症「まん延防止等重点措置」適用が解
除見込みとなりますが、警報レベルStage3の状況のままとなっていますので
引き続き、有峰ビジターセンターは休館、有峰森林文化活動も中止となりま
す。冷タ谷キャンプ場・有会庵・バーベキュー広場も使用できません。
9月25日と26日開催予定の「秋の恵みの集い」は中止となります。
10月以降の行事については、富山県内の感染状況により判断となります。

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◆有峰森林文化活動の報告
◇有峰におけるツキノワグマ夏場の採食メニューについて 
             有峰森林文化村 田島指導員 霜鳥主任指導員
有峰は、標高1000~1300mの高原盆地で、ツキノワグマの秋の重要な食料
である堅果(ドングリ)をつける樹種、ミズナラとブナが分布する森林で、
ツキノワグマの恒常的生息域です。2019年から2021年までの3年間にわたり、
有峰におけるツキノワグマの夏場の採食メニューについて調査しました。
初夏の7月は、セリ科のエゾニュウやオオイタドリの根元の茎、チシマザサ
のタケノコなどを採食することを食べ跡や糞等のフィールドサインで確認
しました。また、今年も7月にはカラマツやスギの樹木で樹皮はぎ(クマは
ぎ)行動をするツキノワグマを直に観察・撮影することができました。3年
前より、猪根平を中心に、折立、西谷、東谷地区など、有峰の至る所でこの
樹皮はぎ行動を確認しています。
今年8月10日、ミズキの実を採食するツキノワグマの親子(母熊と子熊2頭)
を、間近で観察、撮影することができました。今までもウワミズザクラや
ナナカマドの実を採食していることも確認しています。後藤優介(元立山
カルデラ砂防博物館)は、「とやまの森にすむツキノワグマ-旬の食物を食
べる?」において、富山県内で10年に渡るツキノワグマの生態観察から、夏
から秋にかけて様々な果実、ウワミズザクラ、ミズキ、ナナカマドを採食
していることを報告しています。また、夏には、アリやハチなどの社会性
昆虫を採食していること、特にアリに依存していることも報告しています1)
小池伸介は、著書「森と生きる。ツキノワグマのすべて」において、初夏の
クマにはアリは重要な食べ物であることを報告しています2)。8月30日も
猪根平で、アリやバッタなどを採食するツキノワグマ親子(母熊と2頭の子
熊)の様子を、確認、撮影しました。同じ日、日陰に生育するオオイタド
リの根元に近い茎を採食している様子も確認しました。
ツキノワグマの食性は、植物質に偏った雑食性と考えられています。食料が
少ない夏場、有峰のツキノワグマも、植物や動物由来の食料を上手に選択し
採食しているスペシャリストであることが観察できました。この親子熊は、
ほぼ1週間のサイクルで、猪根平(標高1000m)と折立(標高1350m)を
往復していることも確認しています。今後、折立での捕食対象についても
調査が必要です。一方有峰にも分布しているスイカズラ科ガマズミ属のオオ
カメノキ、ヤブデマリやガマズミの果実なども食材として利用しているかの
調査が必要と考えています。なおツキノワグマの観察や撮影時にあたっては
「相手を驚かさないようにすること」「熊と一定の距離を保つこと」に心掛
けて対応しています。
※ありみネット 2021森林文化村 調査報告より
http://www.arimine.net/migoro/migoro2021.htm

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◆有峰の林道状況
有峰林道 小見線は9月10日の災害発生により通行止めとなりました。土砂
流出量が多く復旧の見込みは未定です。小口川線も災害により通行止めです。
有峰には東谷線(岐阜県側)のみ通行可能となっておりますのでご注意ください。
開通日が決まりましたらありみネットでお知らせしますのでご確認ください。

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◆編集室からのお知らせ                有峰森林文化村
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◇次号の有峰森林文化村新聞は、9月下旬発行予定です。
◇ホームページありみネット http://www.arimine.net
◇LINE公式アカウントを取得しました。行事の参加募集案内や見頃情報
 が届きます!

有峰はツキノワグマの生息域ですので、有峰ビジターセンターからも頻繁に
見ることができました。特に夏季は、上記の報告のとおりアリを探すため公
園内の石をひっくり返す行動がよく見られました。ところが9月になると見
ることができなくなっています。今年はブナの結実は並作・ミズナラは凶作
の模様です。食のメインが、熟し始めた木の実に移っていたのかもしれませ
ん。遊歩道などを散策する際にはより注意が必要ですので「音」や「匂い
(蚊取線香など)」を携行してお出かけ下さい。有峰の紅葉は少しずつ動き
始めています。有峰ビジターセンター隣のシラカバの葉っぱは、点的に黄色く
なってきました。今まで濃緑の森は、黄系となってきました。紅葉の具合も
気になるところですね。
有峰ビジターセンターは8月18日より臨時休館となっておりますが、この機
会を有効に活用してさまざまな作業を行っています。遊歩道の整備、生息調
査を始め、収納庫の整理や展示物の作成、webサイトの更新など意外と業務量
が多く毎日があっという間です。特に来館者からの要望や質問の多かった自
然誌系の展示について充実を図っておりますので、再開の際にはみなさまに
より満足していただけるかと考えております。有峰森林文化村助役 編集者