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有峰村民の皆様と、双方向で交流するメールマガジン

有峰森林文化村新聞 2018年9月7日 第411号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/青山和浩
(発行日現在の有峰村民人口:926人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆俳句ポスト7、8月の入選作品
◆「第16回 有峰俳句の会」の開催案内
◆ねじばな便り
 ~嫉妬心と逍遥菩薩街道                中川 正次
 ~森の中でオカリナを奏でる~              竹内 健心
編集局からのお知らせ                有峰森林文化村

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俳句ポスト7、8月の入選作品
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富山県俳句連盟会長 中坪達哉 選(添削後)

7月の俳句ポスト入選句
幹にある熊の爪痕梅雨明けて    河原 芳博
8月の俳句ポスト入選句
飯ごう炊き湖面が返す蝉時雨    河原芳博
太陽がひょっこり顔を出す夏の朝  白岩はな(小学生)
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◆「第16回 有峰俳句の会」の開催案内
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1 日時 : 平成30年10月18日(木)9:30 ~19日(金)16:40 一泊二日

 場所 : 富山市有峰(宿泊施設は有峰ハウス)

 内容 紅葉の有峰の森を散策し、自然を見つめ五感を通じて体感した
      ことを俳句に詠み、有峰の自然環境の理解を深める。

 講師 富山県俳句連盟会長 中坪 達哉 氏
   (初心者の方から上級者の方まで幅広く俳句の指導が受けられます。)

5 募集内容
 ① 対象者 :18歳以上の方(初心者の方も大歓迎)
 ② 定員  :25名程度(先着順)
 ③ 参加費 :一人 9,300円(宿泊、食事、バス代)
       ※初日の昼食は持参
 ④ 交通手段:当方が契約する海王交通㈱のバスに、次の場所から乗車して
       ください。
       ・富山駅北口(9:30発)
       ・立山あるぺん村(10:20発)・・・無料駐車場あり
       マイカーによる参加は固くお断りします。

6 募集期間 :平成30年9月7日(金)~平成30年9月30日(日)

7 申込み方法 :ハガキ、FAX、E-メール(info@arimine.net)で申込み
        下さい。
(申し込み内容)①郵便番号、②住所、③氏名(ふりがなを記入)、④性別、
       ⑤年齢、⑥電話番号、⑦乗車場所(富山北口又はあるぺん村)

8 宛先及び :〒930-1458 富山市有峰26-15
  問合せ先  有峰ビジターセンター「俳句の会」係
        担当 平野、森永  電話(FAX兼用)076-481-1758
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ねじばな便り
 〜嫉妬心と逍遥菩薩街道                 中川 正次
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 NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」を見て驚いた。なぜ子供は
「うんち」が好きかという問いに対して、解説したのが、岡山大学教授の金
関猛さんだったのだ。
 私は、京都大学馬術部に4年間いた。同学年の金関さんは、1年ぐらいしか
いなかった。馬術部は、学生を長時間拘束する。朝、昼、夕、夜、水と餌を
15頭の馬にやらなければならない。うんちとおしっこの世話をしなければな
らない。当番を決めてやるので、その当番が一週間に一度回ってくる。馬に
乗る練習は、一人30分。一頭の馬で、2人ぐらいが練習する。準備にとりか
かってから終わるまでいろんな世話があるので、練習に出てきた日は3時間
ほど拘束される。2回生になると、自分が担当する馬を与えられる。そうな
ると、1週間のうち6日は、毎日3時間、馬術部にいることになる。よほど意
志の強い人でなければ、勉強はおろそかになる。実験や演習が不可欠な、理
系の学部は大変である。そんな苦労を乗り越えて、医学部を卒業し、大学教
授なった人もいる。しかも、全国大会で優勝している。大変な尊敬を集めて
いるのはいうまでもない。

 半分だまされて、しんどさを知らずに入った1回生は、2週間もしないう
ちに、「自分は、こんな学生生活を送っていていいのか」という自問を始め
る。辞めて行って当たり前である。ゴールデンウイークの頃には20人ほどい
た1回生が、夏休みの前には7人になり、3回生になるころまでには3~4人
になる。世話しなければいけない馬がいるのだから、学生を辞めさせないこ
とが、最大の課題である。人間の食糧もままならず、学徒動員もあった戦争
中も存続しつづけ、100年以上続いていることは、大変なことなのである。
よその大学では、長靴(ちょうか:膝の下まである皮の靴)を下級生に磨か
せるということも聞いたことがあるが、京都大学ではあり得ない。

 大会で好成績を上げることだけが評価されるわけではない。中央競馬から
もらってきた競走馬を調教して大会に出るので、その新馬調教、また、先輩
が調教した馬をいい状態で後輩に受け継ぐことが大事なことである。私が4
回生の時の1回生が4回生になった時、関西学生大会で個人優勝し、団体優
勝もした。そのときの京大のエースが、私が2回生の秋から4回生まで新馬
調教したサラブレッドだった。競馬上がりだから、調教はほぼできている。
またがった両足をぐっと締めれば、歩き出すし、手綱を操作すれば止まった
り、左右に曲がったり後退したりはする。その状態の馬を、障害を飛び越え
るまでに調教するのである。普通は、愛撫と鞭とで忍耐強くやる。最初は、
地面に寝かせた丸太を歩いてまたぐことから始まる。次は、走ってまたぐ。
次は、地上30センチくらいの高さで歩いてまたぐ。次は、それを走って飛び
越える。そうして気長にやっていると、半年ぐらいで、130センチぐらいの
障害を飛ぶようになる。私は、愛撫だけでなく、いつもポケットにニンジン
を入れていた。丸太をまたいだだけで、首をこっちに向けてニンジンをおね
だりする。うなじを撫でながら、声をかけ、手を伸ばしてニンジンをやる。
この繰り返しである。鞭は持っているだけ。叩いたことはない。コーチは、
「お前のは曲馬や」と笑っていたが、否定していたわけではない。私の愚直
な愛情のかけ方が後輩にも伝わり、個人優勝・団体優勝につながったのであ
り、生涯の誇りである。

 テレビを見た翌日、9月2日、「愛着の森木を測りつづけて森を知る編」が
西谷のトチノキ林であった。今年初めての試みとして、ツリーイングという
木登り体験もあった。兼崎姉妹が指導者。全体の行事が終わって、有峰から
あるぺん村まで降りてきて、ヤギの柵の前のベンチでおしゃべりした。車に
乗せてもらった藤井徳子さんと、麻畠智美さんとである。大学の同期に嫉妬
心を感じましたと告白した。
 いやいや、「村仕事」にせよ、「愛着の森木を測りつづけて森を知る編」
にせよ、私がいなかったらあり得なかった活動だよね、それを誇りに生きて
いきたいということも、続けて話した。
 いやいや、私、一人でやってきたわけではなく、私は、マッチを擦って、
新聞紙に火をつけて、ケムリもうもうにしたぐらいなのだということも話し
た。歴代の有峰森林文化村のスタッフのみなさん、武市さん、帳山さん、麻
畠さん、藤井さん、長谷川さん、兼崎さん・・・みなさんの力の総和なのだ
と話した。

 褒められたい、認められたいという願望は、自分の中で決着済みと抑え込
んだつもりでも、知人が大学教授となって活躍していると聞くだけで、嫉妬
心として浮上する。私が、県庁職員として、くすぶっているから、なおさら
である。
 高校の現代国語で教わった、中島敦「山月記」が忘れられない。優れた才
能にあふれた人が、自意識のために、虎になってしまうという話である。こ
の作品を、多くの人が教科書で学んでいることは、日本にとって貴重なこと
だと思う。

 西谷のあの森の中の生き物たちのことを考える。光が欲しい、水が欲しい、
栄養が欲しい、子孫を残したいだけの欲望の総和が、あの森を作っている。
あの中に、「褒められたい、認められたい」と思っている生き物はいない。
けれど、私たち人間が、この気持ちを封じることは不可能である。それを上
手にコントロールすることが大事なのだ。
 今回の調査の場合で言えば、3年前の木を見つける人、見つけた木に新し
いステッカーをホッチキスで、がちゃんと張り付ける人、メジャーを当てて
胸の高さで直径を測る人、野帳に記録する人のチーム作業である。
「あなたの左の奥に、340番の木ない? ダケカンバのはずなんだけど」。
「これかな、うん、これみたい」「じゃあ、725番のステッカーつけてちょ
うだい」「がちゃん」「はい、つけました」「測って!」「48.5センチで
す」「OK。3年前に比べて8ミリ大きくなってます」・・・こんな会話が、
森の中にこだまする。
お互いを認め合い、褒め合う時間でもあるのだ。だから楽しい。

 調査地は、私が「逍遥菩薩街道」と名付けた場所でもある。思い起こせば、
薬師如来のふくよかな、ほっぺたの上をブーンと遊んでいる蜂のような気分
になってくる。「チコちゃんに叱られる」を見て、私は嫉妬心をもった。
あの「逍遥菩薩街道」の森で、半日を過ごした。ヤギの前で、藤井さんたち
に、自分のやきもちを告白した。有峰は自分の誇りと話した。いやいや、み
なさんで、自己肯定感・自己有用感を満足しあっている活動だよねと話した。
そういう心の動きの総体として、ありがたい時間の流れだった。フロイトに
詳しい心理学者の金関教授に知らせてみたい。
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◆ねじばな便り
 森の中でオカリナを奏でる~              竹内 健心
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 僕がオカリナを初めて吹いたのは、昨年の6月でした。有峰森林文化村の
行事には、音楽を奏でる機会が多くあり、何か楽器を出来た方が良いという
ので、練習し始めたのがキッカケでした。
 楽器を吹くのは、小学生時代のリコーダー以来であり、最初は上手く吹け
るか、指をちゃんと動かせるか、など不安だらけでしたが、何度か吹いてい
くうちに、だんだんと楽しくなり、また、透明感があり、奥深さもあるオカ
リナの音色に僕自身が魅了され、不安はすぐに無くなりました。

 そして、とある行事の音楽会の日。僕は指導員の先輩と一緒にオカリナデ
ビューの音楽会をさせていただきました。指導員の先輩はオカリナ歴も長く、
何より奏でる音が僕とは比べ物にならないくらい綺麗で、心を打たれました。
先輩が練習している時の音は何度か聴いていたのですが、心を打たれた要因
はもう一つあります。それは、森の中で奏でるオカリナの音楽に合わせるよ
うに、木々の葉や枝が風で揺らぐ音、鳥たちのさえずり、心地よく頬を吹き
抜ける風など、室内では感じることの出来ない、大自然の中、森の中で聴く
オカリナだからこそ心を強く打たれたのでした。また、演奏している先輩自
身も、とても楽しそうに、心地よさそうに吹いており、僕もあんな風にオカ
リナを吹けるようになりたいと強く思い、同時に森とオカリナのハーモニー
の虜になった瞬間でした。

 それからというもの、僕はオカリナの練習をする際には外に出て、風通の
良い気持ちの良い場所などを見つけて吹いたりしています。仕事終りに練習
するので、いつも夕方になるのですが、夕刻のなんともいえない黄昏の景色、
湿り気の無い気持ちの良い風、揺れる木々、鳥の声、虫の鳴き声と、自然の
音しか存在しない中でオカリナを奏でている時間は、なんともいえない心地
よさがあり、すごく安らかな気持ちになる大切な時間です。

 今は、まだ素人腕前ではありますが、自分が主務の時の行事では、毎回オ
カリナを森の中で演奏させていただいておりその度に、目を閉じながら聴く
人、とても心地よさそうな顔をして聴く人、リズムに乗って体を揺らす人、
一緒に歌ってくれる人などを目の当たりにし、森の中でオカリナを奏でる事
の意味を深く感じています。
 有峰に来て、オカリナを吹いて感じたこの気持ちをこれからも大切にして
いきたいと思います。

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◆編集局からのお知らせ                 有峰森林文化村
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次号の有峰森林文化村新聞は、9月21日に発行予定です。
 6月~11月間は二週間毎に、12月~5月間は月1回、第3週の金曜日に発行い
 たします。

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◇文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし投稿お待ちしています。
 (デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿してください。)
  有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。

◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いたし
 ますので、どしどし投稿をお待ちしております。
◇あて先   E-メール:info@arimine.net

                     有峰森林文化村助役(編集長)
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