****************************************************************************
ありみネット http://www.arimine.net
有峰村民の皆様と、双方向で交流するメールマガジン

有峰森林文化村新聞 2017年1月13日 第378号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/青山和浩
(発行日現在の有峰村民人口:854人)
****************************************************************************
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ねじばな便り
  〜山森直清さんから学ぶ2回目-俗化させず~          中川 正次
  〜中川 正次様~                      八十島 大輔
◆編集局からのお知らせ                 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ねじばな便り
  〜山森直清さんから学ぶ2回目-俗化させず~          中川 正次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 有峰について県議会で質疑が交わされることはめったにありません。立山・黒部を
100回とすれば、氷見・五箇山が30回ぐらい、有峰は3回ぐらいでしょう。その
めったにない質疑の中でも、2000年8月31日の農林水産常任委員会は出色です。有峰
の現状、課題、今後の方向性が、出尽くしていると言っても過言ではありません。議
会の報告書から、有峰に関する部分を転記します。

 犬島肇委員(共産党) 8月10日に県の総合計画策定に関する会議が開催された。
県東部地域の自治体の首長と県議会議員が合同で総合計画について議論する場であっ
たが、大山町長が有峰の未来像をどう考えているかと質問した。有峰を俗化させない
方針で計画が立てられないかという趣旨の発言だった。知事は俗化させない方向で一
生懸命研究調査していると答弁した。

 解説します。8月10日の会議と言うのは、総合計画のための会議で、自治体の首長、
県会議員、知事が出席したものです。その席上、大山町長だった飯幸夫さんが質問し、
それに対して中沖豊知事が答弁した。それを、犬島県議が見ていたということです。
犬島県議の質問の転記を続けます。
 治山課での進捗状況と、検討課題はどんなものに絞り込まれてきているのか。俗化
させないという非常にアバウトな議論だったと思うが、有峰保全の理念像とはどうい
うものなのか聞きたい。仮に高度成長期以来、立山が大規模に開発された俗の世界、
観光ビジネスの世界だとすれば、有峰は俗ではなくて聖の世界、清らかな世界だとい
うような感じになってくると図式を描いている。立山の大町ルートから美女平までお
りてくるルートは大体これは俗の世界、それに対して西側に位置する有峰は聖の世界
であり、聖と俗ということになっているが、現在の検討状況、考えを聞きたい。

 これに対する、小見豊さんの答弁です。
小見豊治山課長 9月補正予算案において、有峰地区のあり方調査費100万円を計上し
ている。(途中、略)検討課題は、1有峰を人々の心に残る森林として21世紀にも引
き継いでいくためにはどうしたらいいのか、2有峰林道の安全性を確保しながら有峰
地区の管理運営組織が今後どうあるべきなのか、3命の大切さとか謙虚な自然観とい
うような心の問題にも踏む込んだ森林環境教育を行うにはどうすればいいのかという
ことを考えている。(途中、略)立山が俗、有峰が聖という表現があったが、この対
比について治山課としては、ある事柄が俗なのか聖なのかという判断は人によっても
違い、難しいのではないかと思っている。しかし、有峰を俗化させてはならないとの
気持ちは県、大山町、地主である北陸電力、有峰の来訪者の心の中に広く存在してい
るものと確信している。これらを踏まえて、立山の俗と有峰の聖を対比して考えてい
くのではなく、有峰を俗化させないとはどういう意味なのかみずからに問い続けてい
くことが、有峰問題に取り組む上で大変重要だと思っている。

 解説します。議会において、議員に、「こんな質問をしてほしい」と、県の課長な
どが根回しをすることが、たまに、あります。そして、答弁については、答弁者が全
て細部まで知っているということはあり得ませんから、答弁原稿が作成され、それを
見ながら答弁者が議場で答弁するという格好になります。その答弁原稿作成は、担当
者(多くの場合は係長)が答弁案を作り、組織としての吟味を経て、答弁者に提出と
いう手順を踏みます。これについては、例外がありません。県当局と県議会が、相互
に牽制しあって立派な地域づくりをするというのが地域の民主主義の根幹。したがっ
て、それを実のあるものにするために、答弁原稿作成は不可欠なステップです。さら
に、先立つ課長の根回しも、議員がきっちり勉強しておられることを条件として、癒
着・なれあいとは言えない、大事な仕事だと考えます。
 一方、議会以外の会議における、質問・答弁については、課長の質問者への根回し、
組織としての答弁案作成は、時と場合により様々です。つまり、出たとこ勝負という
ことも多いです。

 さて、犬島県議が質問の中で触れられた、8月10日の飯幸夫大山町長の質問と中沖豊
知事の答弁についてです。治山課長は町長への根回し、知事への答弁案提出を一切し
ていません。さらには、8月31日の常任委員会でこんな質問をしてくれと犬島県議に根
回しも一切していません。私は、課長の下で働く、(忠実な?)課長補佐であり、私
から犬島県議に対する働きかけなど、滅相もないことです。ただし、犬島県議は、高
校の恩師であったこともあり、個人的にお会いすることもあったので、有峰の仕事を
していることは話してはいました。県議、とりわけ共産党の議員に、課長でもないも
のが、質問するように働きかけでもしようものなら、県庁で十倍返しを食うことは必
定ですから、絶対にしていません。願わくば、出世したいと思っていた私ですから。
天地神明に誓って。
 もっとも、高校以来の師弟関係を続けていることは、中沖知事もご存知でしたから、
部長や課長が、内心、疑っておられたかも知れません。一度もそんな疑いの言葉を直
接かけられたこともありませんけれど。ちなみに、高岡高校で犬島先生の教えを受け
た県職員の中には、県庁の廊下で共産党に属する先生とすれ違っても、知らん顔する
人も多かったそうです。「公務員第一条、保身に細心の注意を払うべし」です。そう
はいうものの、犬島先生が、私の仕事の応援演説をしてやろうと思っておられた可能
性は大です。先生の人生観、政治信条が、大山町長と知事とのやり取りを聞いて、産
声を上げつつある有峰森林文化村に共鳴したということでしょう。

 議会の質問は、遅くとも前日までに、質問者である議員から県当局に届けられます。
議場で、いきなり質問してもろくなことがないので、そういう事前通告の慣例になっ
ているものです。その答弁のうち、知事、部長、課長が答えるものは、担当係長が答
弁案を作り、それぞれの答弁者まで、一段ずつ、はしごを登るように見てもらいます。
このはしごを登るのが、大変です。県庁の時間外勤務の多くは、このはしご登りのと
きに発生します。第一のパターンとして、知事が答えるものは、課長が担当者の案を
真剣に赤色鉛筆します。次に、はしごを登った先の部長がこれまたがっちり推敲しま
す。そして、最終的に知事の所に届けられます。部長と知事の間に、はしごが挿入さ
れることもあります。登りだけならいいですが、時として、バックもあるので大変で
す。第二のパターンとして、部長が答えるものの課長段階は一緒です。しかし、部長
段階は本人が答えるわけですから、知事答弁ほど、部長が厳しく赤色鉛筆するわけで
はありません。第三のパターンとして、課長が答えるものは、原案を作り課長に渡し
ておけば、課長が、自分で気の済むまで直して答弁するだけです。部長が課長の答弁
をチェックするといったことはありません。質問答弁はこのような仕組みで回ってい
ます。しんどさは、第一>第二>第三なのです。

 小見課長の答弁は、4月に課長就任以来、二人の机の間に置かれた、木の切り株に
私が腰かけて、ああでもないこうでもないと話し続けた内容です。課長答弁案を小見
さんに出したとき私が考えていたことは、「立山は俗化させてしまった。その失敗の
轍を踏まないように有峰を持っていきたい」などと答弁したら、大変なことになると
いうことでした。そんな答弁が、新聞で報道されようものなら、まるで鍋をひっくり
返したような騒ぎになります。二人が、朝な夕な、話の中で繰り返してきたように、
「俗化とはなんぞやと、問い続けていくことこそが大事なのだ」という、ある意味、
ケムマキ作戦を取ることにしたのです。

 ここで、「俗化とはなんぞや」という定義は別にして、大山町長も、富山県知事も、
犬島県議も、小見課長も、その全員が、「俗化させてはならない」という認識を、共
有していたことに注目してください。質問答弁のやりとりが続いたのちの犬島県議の
質問から、転記を再開します。
 犬島委員 有峰林道の料金がマイカーで1,800円と高いのは俗化させないためなの
か。また、料金は今後どうなっていくのか。大規模林道の整備などと併せて今後の展
望を聞きたい。
 小見治山課長 平成5年(1993年)に有峰に訪れた人々に対してアンケートを行っ
ている。その結果は、1つは狭くて曲がりくねった林道を改良して安全なものにして
ほしいこと、2つ目は有峰の静けさとか森の美しさ、気高さといったようなものを決
して失わないでほしいということであった。有峰林道は今年から大型バスも通れるよ
うになり、安全性の確保はかなり進んだと思っている。これからは有峰の静けさ、森
の美しさ、気高さといったようなものを決して失ってほしくないとのニーズにどう応
えていくかが大変重要になってくる。今後、有峰を人々の心の残る森林として21世紀
にどうやって渡していくかは、大規模林道の進捗を考えると待ったなしの課題ではな
いかと感じている。検討会等で検討したいことは、具体的にはまだ像が結んでいない
ところもあるが、命の大切さとか謙虚な自然観をはぐくむ森林環境教育を行う仕掛け
づくりといったものの充実が非常に大事だと思っている。一部に既存施設のリニュー
アルも出てくるかもしれないが、考え方は決してハード整備の開発型ではない。林道
使用料はパトロールなど林道の維持管理や補修工事の財源に充てており、入山規制の
ための徴収ではない。有峰森林特別会計を組んでおり、不足分は県と北陸電力とが折
半している。林道の利用者と北陸電力、県とで負担しながら森林を守っている大変す
ばらしいシステムであると思っており、今後も有峰林道は有料が望ましいと考えてい
る。

 解説します。この小見課長答弁に、部長、課長、私、そして現場の有峰管理事務所
が一体となって考えていたことが端的に述べられています。1993年当時の小見線は、
トンネルの中に信号があり滝が流れているという真谷トンネルを筆頭に、現在とは比
較にならない怖い道でした。細い山道ですれ違いが怖い、前進あるのみのご婦人運転
の車が、立ち往生ということもあったに違いありません。さらに、大規模林道につい
て解説します。正確には大規模林業圏開発林道と言います。林道と言っても、新しく
林道を作る区間もあれば、既存の国道をそのまま利用する区間もある林道です。富山
県に大規模林道は3路線あります。その3本は、Yの形でつながっています。その分岐
点が、有峰林道から降りてきて、最初に信号のある交差点の小見です。Yの左上の部
分が、小見から北西の福光刀利ダムに向かう大山・福光線。Yの右上の部分が、小見
から北東の朝日町越中宮崎駅に向かう大山・朝日線。Yの根元の部分が、小見から有
峰を通って岐阜県をどんどん南下し関ヶ原に向かう大山・高山線です。当時は、3路
線について様々な工区に区切って、少しずつ工事をしているというところでした。県
内における大規模林道工事の多くの部分は、大山・高山線の中の有峰林道小見線に注
がれていました。現在も完成していません。この3路線、そもそも高度経済成長時代の
林道路線計画であり、今後どうなるかわかりません。この大規模林道は大幅な行政改
革によって、2008年度から表のようになりました。

           表 富山県が関係する大規模林道

2007年度まで 2008年度から
正式名称 緑資源幹線林道 山のみち地域づくり林道
事業主体 独立行政法人緑資源機構





大山・福光線
 (Yの字の左上部分)
福光刀利ダム→上平→利賀山の神トンネル→八尾→小見 同左
大山・朝日線
(Yの字の右上部分)
朝日町越中宮崎駅→黒部→魚津→上市→小見 同左
大山・高山線
(Yの字の根元部分)
小見→亀谷連絡所→有峰林道小見線に入る→★道源谷で有峰ダム方向に右に降りていかないで直進→有峰林道折立線に入る→有峰ハウス・有峰ビジターセンター・北陸電力有峰記念館→右に曲がると折立に向かうことになる分岐を直進→有峰林道東岸線に入る→1000メートルぐらいで通行止め。
→★道源谷で有峰ハウス方向に進まないで、有峰ダムに向かって右に降りていく→有峰林道西岸線→有峰ダムのてっぺん→冷タ谷キャンプ場→大多和峠への分岐点(お地蔵さんあり)をほぼ左に直進→有峰林道南岸線→有峰林道東谷線→東谷連絡所→県境の飛越トンネル(ここまで有峰林道東谷線)→山之村→駒見橋→神岡→高山→・・・・→関ヶ原
同左

注:市町村合併があったころから、地名を正確に記しても、必ずしも分かりやすいわ
けではないので、運転者に分かりやすいことを重きをおいて、地名を記述した。

 この章は、数回に分けて、山森直清さんを軸に、俗化させたくない有峰について記
述します。立山山麓の本宮に生まれ、小見小学校から富山中学に進み、飛びっきりの
秀才として海軍兵学校に学び、沈没した戦艦大和から辛くも生還し、有峰の麓、亀谷
に静穏な老後を送っておられた山森さん。この山森さんが、俗化問題で、決定的なホ
ームランを放たれるのですが、彼がバッターボックスに立つまでは、もうしばらくペ
ージが必要です。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ねじばな便り
  〜中川 正次様~                      八十島 大輔
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 9月2日の第370号では、わざわざご返信いただきましてありがとうございました。
有峰に徒歩で行くこと、帰ることができる道が意外と多くあり、さらにそれらを過去
の有峰森林文化村の行事で探索する旅があったとは知りませんでした。
 今年になって有峰森林文化村の村民登録というものがあることを知ったこともあり、
中川さんに言われるまで過去の森林文化村新聞なんて読んだこともありませんでした。
しかし、参考として教えていただいた号を含め、その近辺の記事などを読んで有峰に
ついての様々な発見がありました。ねじばな便りという名前が、「ねじばなのように、
少しずつ高みに上っていくようになれば」と名づけられた事なども知りました。俳句
や旅日記など色々な過去からの資料があり、有峰森林文化村となってから今までの色
々な想い出がこの「ありみネット」には遺されているのだな、と林道情報くらいしか
見る所が無いと思っていた「ありみネット」に対しての見方が変わりました。
 今年は他の有峰の道を歩く機会がなかったのですが、来年はいくつか歩いてみたい
と思います。
 さて、前々回の第376号で有峰ダムの集水域は本来の5,000haの4倍以上の22,000 ha
で、広大な面積の水を集めているんだというお話がありました。東谷のあたりにいる
と、北電のアナウンスで「この川は岐阜県の金木戸川からの取水をしているため急な
増水の可能性がありますから、絶対に中に入らないでください。」という事をよく聞
きます。なので、その金木戸川の面積が有峰盆地の3倍もあるのかと思って国土地理
院の地理院地図を眺めていたところ、導水管の管路が載っておりそれを使って集水域
を描いてみました。


 図中の濃い青色が有峰湖の直接の集水域。水色が、導水管が書いてあって多分そこ
から集めてあるであろう集水域。橙色は中川さんも説明されていた有峰森林の領域、
黄色が県立有峰自然公園の領域です。
 金木戸川も、一括して取っているのではなさそうで、金木戸川、中ノ俣川、北ノ俣
川の3箇所から取水している雰囲気です。そして、その岐阜県側と同じくらい広そう
なのが、真川流域で、奥の方からスゴ谷、岩井谷、そして真川本流という広い範囲か
ら水を取ってきているようです。そして何より、一番その導水管路を眺めていて驚い
たのが、有峰ダムより下流の東坂森谷、大谷(新ニンニクトンネルのある辺りですか
!?)の上流域からも取水しているようだということです。おそらく、有峰ダムより
標高が高い周囲の川から取れるだけ全部引っ張ってきているのでしょうね。これを全
部足せば22,200haほどとなり、大体その4倍という数字になるので、おそらくこの集
水域の面積は正しいのだろうと想像できます。ちなみに、この22,000haという面積は
魚津市や高岡市よりちょびっと大きく、だいたい朝日町と同じ位の面積だそうです。
ネットなどで調べてみてもダムの集水域が目で見て分かるようなものは見当たらなか
ったので、有峰湖が如何に広大な面積の雨水を集めてできているかが分かった良い機
会となりました。

 あの有峰湖の豊富な水量は、あまり表に出ない地下の導水トンネルなどにも支えら
れているのだと思うと、有峰ダムというものを作る事業がとても大掛かりだったとい
う事が想像出来ました。黒部ダムなどに比べると穏やかな地形に思えていましたが、
そうは言ってもですよ。こんな山奥で大規模な開発事業をしても数十年後には、こう
やって「水と緑と命の森を永遠に」という自然豊かな有峰が現在あるのを思うと、自
然の力というのは凄いものだと実感します。そこには色々な方々の努力があったので
しょうけれども。ありがたいことです。
──────────────────────────────────────
◆編集局からのお知らせ                    有峰森林文化村
──────────────────────────────────────
◇次号の有峰森林文化村新聞は、2月3日に発行予定です。

◇ホームページありみネット 
    
http://www.arimine.net へのリンク

◇文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし投稿お待ちしています。
 (デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿してください。)
  有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。
◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いたしますので、
 どしどし投稿をお待ちしております。
◇あて先   E-メール:info@arimine.net

                         有峰森林文化村助役(編集長)
 あけまして おめでとうございます
 本年も 有峰の私達を よろしくお願いいたします