*****************************************************************
ありみネット http://www.arimine.net
有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン

有峰森林文化村新聞 2016年12月9日 第376号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/青山和浩
(発行日現在の有峰村民人口:854人)
*****************************************************************
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆俳句ポスト10、11月入選作品
◆ねじばな便り
  〜有峰のすごさ、優秀なダムと森林管理制度~    中川 正次
◆編集局からのお知らせ                 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆俳句ポスト10、11月入選作品
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
富山県俳句連盟会長 中坪達哉 選(添削後)

10月分入選句

朴落葉踏みたり永遠(とわ)の木の下に      浅尾 京子

徒然
(つれづれ)に猪根平(いのねだいら)を赤とんぼ  河原 芳博

永遠
(とわ)の木にオカリナの音や天高し      三上 道子
        
薄紅葉湖面やさしく照り返し          老松 成子

ひらひらと舞い来るものや冬支度       岩崎 千鶴子

有峰の森林浴や歩も軽し           山本 勝

沢水の音に癒され秋晴るる          松尾 隆子

有峰の落葉道行くサクサクと         谷村 はるみ

長雨も止みたる湖や山紅葉        八十島 大輔

霧晴れて騙
(だま)し薬師岳(やくし)を目の当たり   中坪 達哉


11月分入選句

重み増す看板積みて山仕舞(やまじまい)     河原 芳博


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ねじばな便り
  〜有峰のすごさ、優秀なダムと森林管理制度~    中川 正次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
有峰の地名をおさえましょう。とりわけ大事なのは川です。

①真川と湯川が立山カルデラで合流して常願寺川になる。
②常願寺川は、富山地方鉄道立山駅のところで、称名川を合流させる。
③常願寺川は、和田で、和田川を合流させる。
④常願寺川は、中地山・才覚地(さいかくち)で、小口川を合流させる。
 その後、富山湾に注ぐ。
⑤和田川の途中に、真谷というところがある。
⑥人工物がないとして、真谷を通る雨水の集水域を図示すると、点線
 で囲まれた区域となる。これを、有峰森林という。集水域だから尾
 根に囲まれている。南は、岐阜県と富山県の県境の尾根。東は、真
 川と和田川を隔てる尾根。西は、小口川と和田川を隔てる尾根。北
 は、鍬崎山の頂上から和田川までの尾根。この有峰森林の面積は、
 7,035haである。
⑦真谷の上流の猫幅に、北陸電力は有峰ダムを設け、和田川をせき止
 めた。有峰湖は、黒部湖より約10%広い。真谷までトンネルでほ
 ぼ水平に水を送り、落差を利用して水力発電をしている。さらに、
 トンネルを通じて下流の発電所に水を送り、何度も水力発電してい
 る。その合計は、最大534,170kWである。
⑧祐延(すけのべ)ダムでせき止められた小口川の水も、水力発電に
 利用されている。こちらの発電は、最大14,500kWであることから、
 有峰ダムの偉大さがわかるというものである。

 有峰ダムに集められる水は、有峰森林7,035haのうちの猫幅上流の
約5,000haの水だけではありません。本来、和田川とは別の真川の水も
トンネルを通じて有峰湖に導かれます。そもそも、真川は薬師岳の西
を流れ常願寺川になる川です。トンネルによって、薬師岳の西側に降
った雪も雨も、有峰湖に入ることになります。冷タ谷(つべただに)
キャンプ場からダムに向かって有峰林道西岸線を走ると、有峰湖に面
した小さな建物が見えます。これは、真川からの水を有峰湖に入れる
ときに、水力発電している折立、折立(増設)発電所です。8,000kW
です。
 さらに、有峰森林の南の岐阜県の山の水は、本来、神通川へ注ぐ水
です。そのうち出水時の水が、トンネルを通じて有峰湖に導かれ、行
き先が常願寺川に変更されます。こうした流域を越えた水の導入によ
って、有峰ダムの集水域は、本来の流域面積の4倍以上の22,000 haに
なり、最大534,170kWの電気が生まれるわけです。
 有峰林道に入る車の多くは、あるぺん村という物産施設で休憩しま
す。その先の横江で、有峰ダムからトンネルを経て来た水は、常東用
水・常西用水に分かれます。常東用水は常願寺川の東を流れる用水で
す。その用水の落差を利用した仁右ヱ門用水発電所を富山県企業局が
平成21年に作りました。その最大出力が、460kWです。有峰ダム、祐延
ダム、折立,折立(増設)発電所、仁右ヱ門用水発電所と並べてみて
ください。

 大正9年に、県は、暴れ川常願寺川の「禍転じて福となす」のために
県営水力電気事業を実施しようと有峰集落の人々がもっていた山林を
買収しました。14,196 haです。当初は高さ110mの重力式コンクリート
ダムとして設計され、その大きさは現在の高さ140mに比べれば見劣り
しますが、戦前のダムとしては異例の巨大さでした。ダムに貯えるこ
とができる水の量は90百万立方メートルで、下流に建設する4か所の水
力発電所で最大58,000kWの電力を発生する計画でした。ちなみに、現
在の有峰ダムは、2.47倍の222百万立方メートルです。
 昭和14年に、県は猫幅にダムのコンクリート打設を始めました。そ
の最前線基地が有峰ハウスのある猪根平です。国家総動員体制の中で、
昭和17年に、県は日本発送電株式会社という国策会社に全ての資産を、
出資という形で提供しました。昭和18年には、戦争で資材を用意でき
なくなったので、工事中断となりました。戦後、日本発送電は、東京
電力、関西電力等の地域独占電力会社に分割されました。常識的には、
北陸地域は中部電力になるはずです。しかし、戦前の日本海電気社長
だった山田昌作さんの尽力で、北陸は北陸電力になりました。ここで
注意していただきたいのは、その地域の発電資産が、そのままそこの
電力会社に属することになったのではないということです。黒部川や
庄川に関西資本が持っていた水力発電資産は、関西電力のものになり
ました。そして、地元資本がもっていた資産が、日本海電気を根幹と
する北陸電力のものとなりました。
 そうすると、県が途中まで作りかけていた有峰の電源資産は、日本
発送電を経由して北陸電力に移っていくことになります。そこで、そ
れの見返りとして、北陸電力は県に株券を交付しました。現在も、富
山県は、北陸電力の筆頭株主です。

 昭和31年、北陸電力は電源開発を再開し、昭和35年にダムを完成さ
せ、発電を始めました。上で述べたように、神通川に流れ込む水も有
峰湖に導いたので、県営時代よりも大きなプロジェクトでした。そこ
で問題となったのは、7,035haの有峰森林の管理です。森林は、発電・
農業・生活の水源として、さらに洪水を防ぐために重要です。そこで、
県と北陸電力は画期的な森林管理制度「有峰森林特別会計」をつくり
ました。昭和33年度のことです。すなわち、北陸電力は所有していた
有峰森林の木を県に戻す。ただし、土地は、北陸電力のまま。かわり
に、県は、有峰森林と有峰林道の管理に当たるというものです。
 その後、昭和48年度に、森林と林道のためにかかった費用から、木
材販売売上と林道使用料収入を差し引いて生じた不足額を、県と北陸
電力で折半するというルールを確立するに至り、今日まで続いていま
す。なお、ビジターセンターの職員人件費、有峰ハウス運営費、語り
部講経費などは、この有峰森林特別会計とは関係ありません。
 この単純明快さ、透明性は、特筆すべきものです。この制度を作り
あげるために、歴代の北陸電力と富山県庁の担当者は、さぞや、知恵
と汗を絞っただろうなと、感心します。北陸電力の人たちは、有峰を
聖地と考えておられ、とりわけ、初代社長の山田昌作さんに対する敬
慕の念は並々ならぬものがあります。その気持ちが、全国に自慢でき
る制度に結実したのだと思います。
 「有峰よ、俗化しないでおくれ」。これは、有峰を愛する人たちの
切実な声です。有峰の俗化を食い止めるのに、昭和30年代から40年代
にかけて磨かれていった森林管理制度が大きな貢献をしています。そ
の基礎の上に、有峰森林文化村が存在しているということを、忘れて
はなりません。

 県庁正面玄関から入って、知事室に向かう階段のところに、銅板が
埋め込まれています。これは、昭和17年に県が途中まで進めた県営水
力電気事業を日本発送電に譲り渡すということを記念して、時の町村
金吾知事が書かれたものです。「国際情勢激変シテ高度国防国家ノ建
設急要トナリ」とあります。もうすぐ日の目を見る大事な大事な施設
を譲り渡すという、県として憤懣やるかたない気持ちがにじんでいま
す。豊富な水資源を使って、豊かな県づくり実現する。これは、戦前
戦後を通じて歴代の知事の悲願でした。私が有峰を担当していた時、
この銅板を見上げてメモしていたら、「お、中川君か」と声をかけな
がら、中沖知事が通り抜けて行かれたことを覚えています。

──────────────────────────────────
◆編集局からのお知らせ                有峰森林文化村
──────────────────────────────────
◇次号の有峰森林文化村新聞は、12月22日に発行予定です。

◇ホームページありみネット 
    http://www.arimine.net へのリンク

◇文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし投稿お待ちしています。
 (デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿してください。)
  有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。
◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いたし
 ますので、どしどし投稿をお待ちしております。
◇あて先   E-メール:info@arimine.net

                     有峰森林文化村助役(編集長)
───────────────────────────────────